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アカザ Liobagrus reini

先日、地元紙・大分合同新聞に「幻のアカザ発見」との記事が掲載された。「昔捕って遊んだ魚じゃ?」と喜ぶ声も聞いたが、残念ながらこれも「レッドデータブックおおいた」の中で絶滅の危険性が増大している種として掲載されている。このアカザ、ナマズの仲間で水の澄んだ河川の上流域から中流域にある石の隙間に住み着いたり、穴を掘ってその中にいたりする。昼間は静かに穴中に潜み、夜になると水生昆虫などを補食する。体色は赤錆がかった色と説明が付いているが、昔捕ったことのある釣り人は、「赤錆というよりもオレンジ色の濃い色」と解釈している人が多い。

橋の上から眺めると、川底に時折穴が空いてある。そんな穴の中には必ずアカザがいたので、石を掘り返して捕まえたりしたそうだ。ただし、背ビレと胸ビレに棘があるため、これに刺されると非常に痛い。そんな事から地方によってはアカバチ、アカギュウギュウ、アカギギ、などと呼ばれている。このアカザは日本の固有種で、全国的にも絶滅危惧種となっている。その反面生物地理学的に興味深いグループ(国外に同族が10種類ある)である。なぜなら、それぞれの種の核型が異なり、核型進化の研究にはうってつけの材料だそうだ。また、オスが縄張りを作り卵を保護するため、他のギギ類と同様に繁殖行動、繁殖戦略研究の良い材料ともいわれるだけに、生物学問上も非常に貴重な魚と言えそうだ。

川に潜るとそこら中に穴が空いていたので、一目でアカザがいると分かった。そんなアカザの個体数が少なくなった原因として、河川工事や山林伐採、道路工事などとそれにともなう土砂流出により、礫間の隙間を埋めることによって生息場所を消失させるためとされているが、詳しいことは現在も調査中。大分県内での分布は、山国川、駅館川、桂川、安岐川、大分川、筑後川水系の本流及び支流とされている。それこそ30年前はまだ珍しい魚ではなく、刺されると痛いので、要注意な魚であったことを考え合わせると、30年間の環境変化の重みを感じる。先週掲載させて頂いた高岡先生も、このアカザには非常に興味があるらしく、「今年夏には近くの小川にいってアカザを見つけたい」と言っていた。本誌も是非、取材したいものだと思った。こんな生物を残すために、自然を戻すとすれば、どのくらいの年月が必要になるのだろうか?

科 目 ナマズ目 アカザ科
カテゴリー 大分県・絶滅の危惧が増大している種
環境庁・絶滅の危惧が増大している種
水産庁・危急種
選定理由 宮崎県以南から九州まで生息する日本固有種。生息確認できた県内河川内において、その分布は局所的である。河川護岸工事のため、流出した土砂などにより生息地および産卵場が埋められ、個体数の減少が危惧される。
県内分布 山国、駅館川、桂川、安岐川、大分川、筑後川水系の本流及び支流
分布域 宮城県、秋田県、以南の本州、四国、淡路島、九州
生息環境 比較的水の澄んだ河川の上、中流域の転石帯
現 状 1950年頃までは大分川水系の以北のほとんどの河川で生息が確認されたが、現在は個体数、生息場所とも減少している。