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釣り場 : 福岡県

Writer : 編集部

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伝説が動き出す ~5代目エキスパートグレ~ その①…福岡市役所前広場にて

2019年 8月 17日 14時頃

「思ったより暑くないな〜」
「そうですね」
開口一番で意見が一致した、7月も盛りの平日午後。学生への講義を終えた池永さんと待ち合わせたのは、福岡・天神の市役所前広場。普段は釣り場や釣具店、そしてその道中でお会いすることが多い中、こんな繁華街の真ん中で話をするのは、初めての経験だ。

テーマはズバリ、「新・エキスパートグレ」の構想について。今や、すっかり定着した「1000釣法」。その中核をなすのは、いうまでもなく「約10m取ったフロロカーボンハリス」+「0c浮力のウキ」である。シンプルだが、いずれかが欠けても、この釣法は成立しない。

だが、ここで一つの疑問が生じる。シンプル、だからこそ。

これまでの「エキスパートグレ」で全ては完成し、完結されていたのだとばかり、思っていた。なぜ、今「新たなエキスパートグレ」が必要なのか、単刀直入に聞いてみる機会を今回得たという訳だ。

松大=G杯連覇から、もう20年も経つのですね。(注:池永さんが最初に優勝したのは2000年、第19回大会)

池永=ということは、0cという浮力が世に知られるようになってから20年経つということやな、早いな〜。

松大=早いです。あの時を境に「1000釣法」という概念が、一気に世に広まりました。「ウキはツケエを運ぶ宅配便」とか、「ラインの表面張力を切る」とか、「セット釣法」など、それまでにない言葉や釣り方が広がって、現在にまで至っています。もちろん池永さんの釣技や戦績というのも大きなインパクトがあった訳ですが、実際に釣り人が同じ釣り方をやってみると、本当に簡単にクロが釣れる。「よく釣れて、誰にでも分かりやすい」という意味で、革新的な釣法でした。だからこそ、今も変わらず受け入れられているのだと思います。

池永=確かに、1 0 0 0 釣法にしたら良く釣れるようになったという声は、本当に多くの人から頂いた。今でも言われる。エキスパートグレZ、0c浮力は、それだけ画期的なウキだったわけやな。

松大=そうです。だから「自分は0cさえあれば、他のウキは何にも買わなくていい、エキスパートグレZ/ 0c 、これ以外買わない、これだけで十分!」という釣り人の声を頂くことも今もって多いです。ウキの名前じゃなく、単一の浮力サイズがこれだけ市民権を得るというのは、本当にすごい事だと思います。たまには他のウキも試して頂きたいのが本音ではありますが…。

池永=・

松大=笑。

松大=で、令和の今に至り、なぜ「新たなZ・0c」なんでしょうか。

池永=わしも疲れたんよ。

松大=へ?

池永=疲れた、というのは少し言い方が違うかも知れない。要は、俺ももう年齢を重ねたことによって、体幹がブレ始めた。そうなると何が起こると思う?

松大=思い通りの釣りが出来なくなる、とかですか?

池永=もちろん、それもある。でもそれだけじゃない。1000釣法をやったことのある方なら分かると思うけど、特に大事なのはマキエワーク。そして狙ったところに仕掛けを入れていくことの出来る投入精度。これが悪くなると、釣果にモロに影響が出てきてしまう。それを感じることが多くなってきたんよ。

松大=わずかなブレで、そんなに釣果が変わるものですか?

池永=変わる。エキスパートグレZ /0cの重量は9g台。これは20年前当時の自分にとっての最適解。そこから20年経てば、自分の体だけでなく、周りの釣り方も当時と比べれば変わってきたしな。

松大=でも、投入精度を高めるには、ウキの重さを重くすれば良いと思います。そうであれば、Zに続いて送り出されたスーパーエキスパートUEを使えば、池永さんなら楽に補えるのではないですか?

池永=「重量を重くする」は正解。UEはZありきで、Zより約3g重くした。これは、どちらかというと、遠投を主体とした釣り方をする時のウキ。5Bとか大きな浮力のラインナップも増やした。そこを理解して使っている方も多いと思う。でも、重くすれば当然、その分浮力を必要とするから、本体の体積も大きくなる。と、いうことは?

松大=中距離までのスレた魚にUEを使うと、Zより体積が大きい分、食い込み抵抗が大きくなる。競技の2時間内で、くわえたツケエを離される回数が1〜2回でも対戦相手より多かったら、それは…、

池永=そういうこと!

松大=Zを今の池永さんに合わせてアップデートする、というわけですね。じゃあ「まずはZよりは、重たいウキになる」ということは分かりました。では、もう一つ質問です。「まわりの釣り方も変わってきた」とは、どういうことですか?

池永=0cという浮力が世に出て20年。20年経てば、人間で言えば生まれた子供が成人式を迎える…。そう考えれば相当の期間が経っているっていうのは分かると思う。で、当時と今とでは、釣りの一つ一つの「定義」そのものが、変わってきていると思うんよ。簡単にいうと、当時の釣り人と、現在の釣り人とでは、考え方の根本の部分が違っている。

松大=根本ですか…。例えば、どういうことでしょうか?

池永=一番、分かりやすいのは「遠投」って言葉。20年前の遠投と今の遠投は、完全にニュアンスが変わって来ていると思うんよ。ズバリ、と言えるかどうかは分からないけど、当時と今では20%位、遠投の距離の定義そのものが、遠くなっていると感じる。じゃあ、昔と今を比べたとき、決定的にエサ盗りが増えたか、劇的に魚の動きが変わったかというと、そうでもない。賢い魚はかなり増えたと思うけど…。はっきりしているのは、昔よりも釣り人はより遠くを狙うようになったし、それが出来るようになってきたのは間違いない。

松大=釣り人の釣技が、この20年で上がってきたということですか?

池永=そう、はっきり言って、今の若い釣り人の遠投力は素晴らしい。これは20年前とはっきり違いを感じる。昔に比べて仕掛けもマキエもよく飛ばすし、より細い糸で釣り切るようになった。遠投が上達すれば、それはエサ盗りと本命との分断が、よりきっちりと出来るようになるということ。だから、よく釣れるわな。今の若い子は、それを十分理解している。とても頼もしい。その②…若い力に応えるウキ

松大=そういう若い人が、20年前に生まれたZを使う。今でも十分、いや十二分に、戦力になっているウキだと思うのですが…。

池永=そういうウキにZが育ってくれたことは本当に嬉しい。でも「Zでは物足りない」というシーンが、20年前に比べて多くなってきているのも事実。ちょっとの違いで、釣りが大きく変わる。それを踏まえて、今度のウキは、ちょっとだけ重く、1gにこだわって作ろうと思う。でもって、もっと遠投力を発揮してもらえたら…。

松大=1g、ですか…。

池永=そう。大きいよ。それは、こう考えたら分かりやすい。① 9gのウキと、10gのウキ② 13gのウキと、14 gのウキ①②を実際に使い比べて、どちらが違いをより分かりやすい、実感できると思う?

松大=②ですか?②は、遠投した時、より重い方が狙えるエリアが広がることを感じることはできると思います。遠投限界距離30mが35mになったりするんでは?

池永=違う。それはあくまで数字の大小を見比べただけでそう思うからやろう? 実釣本位で考えると、よりピンスポットで狙いをつけて、マキエとの相対距離を測りながら仕掛けを入れないといけないシーンが多いと思う。その時、きっちりと狙った所に狙いをつけやすいか、そうでないかを感じられるのは①。これは実際にやってみれば、すぐに分かってもらえると思う。

松大=そうですね、ありがとうございます。

池永=1gの違いは大きいよ。0c浮力ありきで考えたとき、重量を「ただ1g」増やすだけなら簡単、と多くの人は思うかもしれない。でも、ウキの体積や重量が増えれば、沈み方や糸落ちも全く変わる。全く同じ浮力のウキでも、どんぐり型と円錐型では沈降速度が全く違うのをイメージすると分かりやすい。糸穴設定とかも、今はまだ決まってない。今から色々試さないといけない。だから、ウキ作りはこれからが一番大変。でも、これまでのZやUEで培ってきた基礎コンセプトは変えるつもりはない。根本はマキエとツケエの同調。これは1 0 0 0 釣法に限らず、どんな釣りでも同じ。ただ、特に1000釣法はこの部分を突き詰めた釣り方。ウキの話とは少し違うかもしれないけど、最初に1000釣法が広まった時、ラインの置き方とかを特に力を入れて説明してきたのも、その一つ。マキエ、仕掛けを入れる前に、立ち位置をきちんと決める。投げる前から釣りは始まっている。仕掛けを入れたら、ラインをどこに置くか。当時から、口をすっぱくして言ってきたことは、今も変わらないし、20年前に言っていたことが、今だからこそ、逆に以前より重要な意味を持って、生きてきていると感じることも多い。

松大=作り手の立場もご理解いただいたお話、ありがとうございます(笑)。釣り人の腕が上がった、ということは素晴らしいことだと思います。他に20年前と比較して変わったことはありますか?

池永=さっきも言ったとおり、劇的に魚の動きが変わったとかは思わない。だけど、昔以上に小さなアタリまでしっかり取る必要が出てきた、というのは20年前にはなかった考えかな。

松大=やっぱり、警戒心の強い魚が多くなったということですか?

池永=正直、それはある。鶴見でも米水津でも、魚が決して減ったとかいうわけではない。むしろこれだけたくさんの魚が今も変わらずいるということに、大分は本当に素晴らしい釣り場だと改めて思う。とは言え、その中でも、魚が「ツケエ」というものの存在を認識し、気づかれている、ということを感じる機会は、20年間同じ仕掛けを流していて、昔と比較して確実に多くなったと感じるんよ

松大=20年以上、1つの釣り方を通して来られた池永さんの言葉だからこそ、その言葉はリアルで重いです。その中で、上手くなった若い人が良く釣る。そうなると、さらにそこから残った魚は、相当賢くなるのは当然と思います。それに合わせたウキのアップグレードということですね。最初に言われた「疲れた」って言葉が、なんだか全然違うことになってますよ。

池永=そうやな(苦笑)。でも、今までにないことも、今度のモデルでは色々試していきたいなと思ってることもあるんよ。

松大=それが一番気になります。実際、Zというウキは、限定の色違いが出たり、昨年の西日本釣り博ではメタルバージョンが出たり(即日完売)と、ものすごい派生モデルがあります。歴史のあるウキは、同時に本当に多くの皆さんに注目されているウキだと思います。でも、論より証拠、イメージをもっとリアルにするために、釣り場にテストに行ってみませんか?

池永=「その言葉を待ってたんよ!(笑)」。

~実釣編に続く~

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